
各地でマスクが不足しているが、マスクではないある商品を求めて長い行列ができていた。
その原因は、ネット上で広がったあるうわさだった。
取材班が向かったのは、東京都内の商店街。
ドラッグストアでは、トイレットペーパーが売り切れていた。
普段なら山積みされているはずのトイレットペーパーが、姿を消していた。
さらに、別の店でもトイレットペーパーの棚がガラガラ。
28日朝、都内で撮影されたドラッグストアの様子。
店の前にできた行列をよく見ると、多くの人がトイレットペーパーを手にしていた。
こうした現象は全国で起きていて、例えば、熊本市では、50人以上とみられる長い列ができていた。
開店した途端、レジにはトイレットペーパーを買い求める客が殺到。
中には、自転車のかごに入りきらず、ハンドルにぶら下げて帰る人の姿も。
女性「3軒目でこれだけ取れたから、ラッキーでした」
これを聞き別の店に行ってみると、トイレットペーパーの棚はガラガラの状態だった。
お店の人は…。
新生堂薬局店長・森山憲太郎さん「昨日の昼から一気に買いに来られた。何事かみたいな感じでちょっとびっくり、というか、かなりびっくりしました」
こうした品切れに便乗してか、フリマアプリサイトにも登場。
12ロール入りのトイレットペーパーが2,000円近い高値で売られていた。
一体、何が起きているのか。
客によると、ネット上で新型コロナウイルスに関するあるうわさを目にしたからだという。
買い物客「昨日、ネットで『ペーパー類が多分入ってこないだろう』と流れた」
そのうわさとは…。
「中国のトイレットペーパー工場が止まったらしい。トイレットペーパーが入手困難になるぞ!」
「マスクと同じ原料を使っているからトイレットペーパーが品薄になっている」
こうしたうわさは、海の向こう香港でも拡散。
大量のトイレットペーパーが盗まれる事件も起きている。
では、トイレットペーパーが入手困難になるというこの情報は、正しいのか。
日本家庭紙工業会・林廣文会長「誤った情報で消費者が誤った行動をしているのかなと。2019年の国内出荷に基づくと、97.7%は日本製。在庫も十分ある」
つまり、うわさはデマ。
熊本では、市長がツイッターで「ほとんどが国産で製造に全く影響ありません。まとめ買いしなくても大丈夫です」、「皆さん落ち着いて行動してください」と注意喚起する事態にまで発展している。
しかし、トイレットペーパーを買った人にうわさがデマだと伝えると、意外な答えが。
トイレットペーパーを購入した人「(デマという話だが?)そうですよね」、「デマで買う理由は、念のため」、「みんな買い占めてるじゃないですか。なくなったら、実際家で使うのに困るから」
なんと、ほとんどの人がデマだと知りながら買っていた。
これに対し、ドラッグストアの店員は…。
新生堂薬局店長・森山憲太郎さん「爆買いしなくても、いずれちゃんと手元に紙は来るので安心して」
(2020/02/28)
FNNプライムオンライン
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